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消化器領域の治療指針とパス

掲載記事は発行時(2005年)の内容です。

I  治療指針とパス

早期胃癌の内視鏡的治療 EMR、ESD

虎の門病院 消化器内科部長・内視鏡部部長 矢作直久

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   早期胃癌や胃腺腫などの粘膜病変に対する標準治療の1つであるEMR(内視鏡的粘膜切除術)に加えて、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)が開発され、ガイドラインを超える大きな病変や、瘢痕を伴うような病変に対しても一括切除が可能となった。ただし、偶発症への対応や手技の習得が容易でない点など問題点も残されており、病変の状態や術者の熟練度に合わせて、治療手技を選択するべきと考えられる。

適応

   適応病変の評価には、組織型、深達度および病変の広がりなどの術前診断が重要である。
   日本胃癌学会「胃癌治療ガイドライン」では、「リンパ節転移の可能性がほとんどなく、腫瘍が一括切除できる大きさと部位にあること」とされている。具体的な適応条件としては、

  • 2cm以下の肉眼的粘膜癌(cM)
  • 組織型が分化型(pap、tub1、tub2)
  • 肉眼型は問わないが、陥凹型ではUL(-)に限る

とされている。
   一方、病変を大きく一括切除できるESDを用いて、臨床研究的に適応拡大の試みがなされている。具体的な適応拡大条件として、国立がんセンター中央病院および、癌研究会附属病院で集計された早期胃癌の手術症例の検討から、

M癌で

  • 2cm以上のUL(-)分化型腺癌
  • 3cm以下のUL(+)分化型腺癌
  • 2cm以下のUL(-)未分化型腺癌

SM癌でも

  • 3cm以下で浸潤が500μmまでの分化型腺癌

の場合、リンパ節転移がほとんどないため(表1)、技術的に一括切除が可能であれば臨床研究的に切除してもよいとされている。

表1:組織学的M癌のリンパ節転移率(潰瘍所見や脈管侵襲のない症例)
       国立がんセンター1962-1999年、癌研究会附属病院1987-1998年資料

分化型 LN節転移 未分化型 LN節転移
≦10mm 163 0 0.0(0~3.8) 43 0 0.0(0~8.2)
≦20mm 274 0 0.0(0~1.3) 98 0 0.0(0~3.7)
≦30mm 305 0 0.0(0~1.2) 117 2 1.7(0.2~6.0)
>30mm 187 0 0.0(0~2.0) 97 4 4.1(1.1~10.2)
929 0 0.0(0~0.4) 355 6 1.7(0.6~3.6)

      カッコ内は95%CI
      潰瘍所見や脈管侵襲のない分化型で組織学的M癌のリンパ節転移率:0/929=0%(0~0.4%)
      未分化型でも2cm以下であれば、リンパ節転移率は0%(0~2.6%)
      胃癌治療ガイドライン,日本胃癌学会編,第1版,2001年より引用改変

表2:組織学的SM1癌におけるリンパ節転移のリスク
       国立がんセンター、癌研究会附属病院資料

分化型 LN節転移
≦10mm 28 0 0.0(0~12.3)
≦20mm 59 0 0.0(0~6.1)
≦30mm 58 0 0.0(0~6.2)
>30mm 78 2 2.6(0~4.6)

      カッコ内は95%CI
      潰瘍所見や脈管侵襲のない3cmまでの分化型組織学的SM1癌のリンパ節転移率:0/145=0%(0~2.5%)
      胃癌治療ガイドライン,日本胃癌学会編,第1版,2001年より引用改変

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