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消化器領域の治療指針とパス

掲載記事は発行時(2005年)の内容です。

I  治療指針とパス

肝疾患の診断法 肝生検

虎の門病院 分院長 熊田博光

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   肝生検は肝臓の組織の一部を採取し、臨床的に不明な病態を解明することを目的とし、その方法としては腹腔鏡下もしくは超音波ガイド下で施行される。現在は血管走行が把握でき安全に肝生検針を挿入できる超音波ガイド下肝生検が重要視されている。
   肝生検は、組織、免疫、ウイルス、酵素・代謝、細胞培養などの肝疾患の成因、診断、予後判定、治療選択に極めて重要な検査であり、非侵襲的な方法以上の情報が得られることから、肝疾患のアプローチとして重要な検査法である。

目的・適応と禁忌

   肝生検の意義は(1)肝疾患の診断、(2)確定された疾患の重症度や病勢の把握、(3)治療効果の評価、である。具体的な適応は、

  • 肝機能障害の原因診断
  • 慢性肝炎の進行度診断
  • 肝腫瘤性病変の確定診断
  • アルコール性肝炎の重症度判定
  • 薬剤性肝障害
  • 肝組織培養による不明熱の評価
  • 代謝性疾患(アミロイドーシス、ヘモクロマトーシス、ウイルソン病など)の診断
  • 肝内胆汁うっ帯(原発性胆汁性肝硬変症、原発性硬化性胆管炎)の評価
  • 病原体の培養目的
  • 肝移植後の拒絶反応

などである。なかでも慢性肝炎のインターフェロン療法に対する治療効果判定に有用で、組織診断の基準には新犬山分類が使用されている(表1)。
   一方禁忌は以下の場合となる。

  • 出血時間延長(10分以上)
  • 血小板数(5万/m3以下)
  • 血液凝固系低下(ヘパプラスチンテスト40%以下)
  • 腹水貯留
  • 穿刺ルート上の肝表面に大網がある場合

表1:新犬山分類による診断基準

【慢性肝炎の定義】
臨床的には、6カ月以上の肝機能検査値の異常とウイルス感染が持続している病態をいう。組織学的には、門脈域にリンパ球を主体とした細胞浸潤と線維化を認め、肝実質内には種々の程度の肝細胞の変性・壊死所見を認める。そして、組織所見は線維化と壊死・炎症所見を反映させ、各々線維化(staging)と活動性(grading)の各段階に分け表記する。

【staging】
線維化の程度は、門脈域から線維化が進展し、小葉が改築され肝硬変へ進展する段階を4段階に区分し、さらに結節形成傾向が全体に認められる場合は肝硬変(F4)と分類する。
    F0 … 線維化なし
    F1 … 門脈域の線維性拡大
    F2 … bridging fibrosis
    F3 … 小葉のひずみを伴うbridging fibrosis
    F4 … 結節形成傾向が全体に認められる。肝硬変
【grading】
壊死・炎症所見はその程度により、活動性なし(A0)、軽度活動性(A1)、中等度活動性(A2)、高度活動性(A3)の4段階に区分する。すなわち、活動性の評価はピースミールネクローシス(piecemeal necrosis)、小葉内の細胞浸潤と肝細胞の変性ならびに壊死(spotty necrosis, bridging necrosisなど)で行う。
    A0 … 壊死・炎症所見なし
    A1 … 軽度の壊死・炎症所見
    A2 … 中等度の壊死・炎症所見
    A3 … 高度の壊死・炎症所見

市田文弘,鈴木宏,谷川久一ほか:
   C型肝炎研究の進歩,肝炎ウイルスの変異,犬山分類の再検討,
   犬山シンポジウム記録刊行会編,p183-189,中外医学社,1996より

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