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消化器領域の治療指針とパス

掲載記事は発行時(2005年)の内容です。

I  治療指針とパス

肝細胞癌の保存的治療 TAE、TACE

金沢大学 消化器内科 教授 金子周一
金沢大学 名誉教授 松井 修

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   肝細胞癌の約85%に肝硬変の合併がみられる。そのため他癌に比べ再発率が高い。TACEの必要性、治療効果、副作用および合併症などを説明するとともに、治療全体の有効性を上げるためにほかの治療法(局所療法、放射線療法、手術)を組み合わせたり、繰り返しTACEを施行する場合もあることを説明する。また、入院中の経過についてはクリニカルパスを使って説明する。

前処置と術後管理
1  入院時~術前日

検査:腫瘍マーカーや肝機能、腎機能などのデータ評価や凝固能、エコーなどでの腫瘍の評価。
胸腹部X線、心電図、CT、MRIなど( cp[1])。

術前ムンテラ:病状、TACEの説明、同意書など( cp[2])。

治療・処置:術前日に両側鼠径部の剃毛( cp[3])。

2  術前

治療・処置:検査前は病棟にて尿道バルーン留置、血管確保( cp[4])。

注射・点滴:術中、術後は水分管理が重要であり、十分な補液を行う( cp[5])。

3  治療後~退院

観察:術後は4回、翌日から3日目までは毎日合併症の有無のチェックのため、バイタルや症状、穿刺部の状態、下肢の状態を観察する( cp[6])。

注射・点滴:術後数日間(症状により適宜変更)は抗生物質を投与する( cp[7])。

食事:帰室後は飲水のみ可。夕食より食事開始( cp[8])。

安静度:TACE後6時間はベッド上安静。安静度解除後はフリー( cp[9])。

指導・教育:術後の状態や治療結果により退院や今後の治療方針を決める。退院後の生活指導を行う( cp[10])。

4  退院後フォローアップ

TACE後1~3カ月で治療効果が良好であれば、3~4カ月ごとのCT、MRIで経過観察する。CT、MRIで再発巣の描出が困難なときは超音波や腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-II)なども参考にする。再発を認めれば治療法を検討し、繰り返し治療を行う。

合併症

   TACEにおける合併症の程度は患者自身の状態や腫瘍の規模、抗癌剤と塞栓物質の量に左右される。起き得る副作用および偶発症は以下のとおりである。
   TACE後に腹痛等の症状が見られた場合はまれではあるが肝癌破裂、肝出血の場合がある。また、発熱、腹痛が2週間以上の長期にわたる場合、肝不全、敗血症、腎不全、DICなどを引き続き起こす場合がある。塞栓の程度や範囲によっては重篤な肝機能障害を来すことがあるため、肝予備能不良例においては、慎重な対応が必要である。

副作用

  • 塞栓症候群(悪寒、発熱、腹痛、悪心、嘔吐など)
  • 肝機能増悪
  • 肝性脳症
  • 腹水増加
  • 静脈瘤の悪化(食道、胃静脈瘤が多い)
  • 抗癌剤による骨髄抑制

偶発症

  • アレルギー反応(重篤な場合ショック状態)
  • 血管損傷
  • 肝不全
  • 肝腫瘍
  • 胆嚢炎、胆嚢壊死
  • 急性膵炎
  • 肝癌破裂、肝出血
  • 胃・十二指腸潰瘍
  • 脾梗塞
  • その他、血管造影法による合併症
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