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お役立ち情報

消化器領域の治療指針とパス

掲載記事は発行時(2005年)の内容です。

II  クリニカルパスを作る

クリニカルパスの作成手順

医療法人財団献心会川越胃腸病院 外科部長 藤野幸夫

   クリニカルパス(Clinical Pathway:CP)は、入院中の診療内容を時系列に示したスケジュール表であるが、医療者が使用する診療用のチャートと患者さんに渡す患者用のチャートの2種類がある。CPの作成・運用には以下のSTEPを踏むとよい。

step 1 疾患または処置ごとで作成したいCPを選定
ポイント:CPを作成しやすい条件を満たすものから選ぶ
  • 導入当初は入院期間が短くバリアンスが生じにくい検査や治療から作る。
  • 施設ごとで症例が多くルーチン化しやすい検査や治療が比較的CPにしやすい。
step 2 CPの基本フォーマットを作る
ポイント:作成にはMicrosoft社のExcelR を使うのが一般的
  • CPには主に2つのフォーマット(オーバービューパス、日めくりパス)があり、看護記録や医師記録を兼ねるなどの使用目的を考慮した上でフォーマットを決める。
  • CPのフォーマット作成には、Microsoft社のExcelR を使うのが一般的である。
step 3 適応基準、退院基準・在院日数の設定
ポイント:原則、全例が適応できる基準にする
  • 適応基準とは、治療(手術)の適応ではなく、パスにのせるための基準である。
  • 退院基準はパスの最終アウトカム(達成目標)で、患者が安全に退院できると予期される状態のことである。
  • 在院日数は過去の症例から平均退院日を割り出したり、ガイドラインや論文などを参考に設定する。
step 4 日々のアウトカムを設定し具体的な診療内容をパス表に組み込む
ポイント:時間軸に沿って全スタッフで決めていく

◆医療者用の場合

  • 退院基準が達成されるための日々のアウトカムを設定し、そのアウトカムを達成するために必要な診療内容を決めていく。
  • それまで使用していた指示簿などを基に話し合えば、よりスムーズにCP化が進む。
  • 統一化できる薬剤は具体的に示し、商品名で規格や投与量、投与方法を明記する。
  • 内容が複雑になり過ぎるのを防ぐために、略語などを使用するとよい。

◆患者用の場合

  • わかりやすい言葉で、文字は大きく、イラストも入れた方がよい。
  • 内容は細かくなり過ぎないようにする。
  • 可能であれば事務手続きの内容や医療費などを明記するとより親切である。
step 5 バリアンスの設定
ポイント:バリアンスには「ポジティブ」なものと「ネガティブ」なものがある
  • バリアンスとは、CPで予定された内容を逸脱したり、アウトカムが達成されなかった場合のことである。
  • バリアンスの設定はより具体的にし、その対応策も明確にしておく。
step 6 クリニカルパスの運用と改訂
ポイント:運用と改訂の繰り返しが、EBMの実践へつながる
  • 作成したCPを使用する前に、必ずスタッフ全員に対してオリエンテーションを行い、使用方法などの説明を十分に行う。
  • 運用したCPは定期的に評価し、継続的な改訂を行うことで、次第にEBMに則したCPへ成長していく。
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