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パリエットについて

パリエット開発物語

掲載記事は発行時(2007年)の内容です。

第2話 パリエット/アシフェックスに輝いた女神

幸運な化合物

 画期的新薬開発は、そのコンセプト創生からPOC確認(臨床での開発コンセプトの検証)、さらにPhIII試験を経て申請・承認に15年、1000億円の投資が必要であるといわれており、開発に成功すれば大きなリターンをもたらすが、半面安全性・有効性などの大きなリスクを有している。

 一方、いわゆる改良医薬品の場合はPOCが確認されていることもあり、開発リスクは大幅に低下するが、先行医薬品に対する医療、特に患者様におけるメリットがなければ日米欧各国で承認取得するのは難しく、画期的新薬と同じくらいの開発費と努力が必要である。

 パリエット開発の最大の課題は、すさまじいまでの先行メーカーによる特許資料の分析から特許化合物群の合成戦略、PPIのカルチノイドの懸念を回避するための開発戦略、即ち開発コンセプト・クライテリア設定及びスクリーニングシステムの構築であった。

 開発コンセプトは、(1)最強のプロトンポンプ阻害活性、(2)酸分泌抑制作用の早期発現と(3)酸分泌能の早い回復とした。オメプラゾールのラット・カルチノイドとヒトでの安全性に対する危惧が、その72時間にも及ぶ持続的な酸分泌抑制作用による高ガストリン血症に基づくものと仮説を立て、胃にやさしいプロトンポンプ阻害剤を目指すことにした。

 その目的を達成するために、ラットや摘出標本試験がスクリーニングとして一般的であったが、我々は最初から犬での酸分泌抑制活性とその回復性をスクリーニング評価法として採用した。毎日フィストラ犬との格闘の連続であったが、約1000化合物の中から、我々の評価クライテリアを満足する強力でかつ48時間で酸分泌能が回復する2化合物を見出した。その一つは特許で断念したが、1化合物(Rabeprazole)が次のステップに進行し、長期安全性試験、各種臨床試験を経て、後のパリエットとなったという極めてラッキーな化合物でもある。プロジェクト立ち上げから申請まで9年であった。

 臨床では先行品との差別化を念頭に患者様での有効性と安全性を確認しつつ推進した。臨床試験において最も有効量が少なく(10㎎)、酸分泌抑制作用の発現が最も早いことが検証され、データが出る度に研究員一同が手に手を取って喜んだものである。

Eisai Group
human health care